週末イベントに15,000人を集める「道の駅」の、隙の無い秘策について聞きました[後編]

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太鼓と石川

こんにちは。のぼりラボ編集長の石川です。
引き続き太鼓を叩くポーズを決めていますが、「本当に叩いているように見えるのか?」と不安な様子が表情から読み取れますね。

今回ののぼりラボでは、前回に引き続き、道の駅「舞ロードIC千代田」で、駅長を勤める大畑和憲(おおはた・かずのり)さんから、お話を聞いた後編の記事をお届けします。

参考リンク
  1. 前編の記事

北広島町という土地の特性と魅力を活かした施策により、呼び込んだお客様へ「確かな満足」を提供し、リピーターを生み出し続ける秘密について詳しくお聞きしました。

神楽とキープ米をリピート来場の柱に。着実な取り組みで「きたひろ」ファンを増やす。

サイン色紙
色々な有名人も取材に来ているのだとか。こちらのサインはグっさんとシソンヌ。

石川北広島町という地域のコンテンツと言えば、神楽(かぐら)だと聞きました。正直、私は神楽って全然詳しくないのですが、そんな素人でも楽しめるのでしょうか?

大畑さん確かに北広島町は神楽が盛んで、2015年の調査で70の神楽団体があります。これは市町としては国内で最も多い数と言われています。

石川町の規模や人口を考えると、「神楽の団体が70ある」っていうのは、かなり熱心に活動されていることが、ビシビシ伝わってきますね。

大畑さんさらに、北広島町にはスーパー神楽というジャンルで活躍する神楽団もあるんです。

石川ス、スーパー神楽!?

大畑さん目がライトで光ったり、ドライアイスの煙で演出したり、衣装や面も豪華に作られてて、一味違った見ごたえがあります。

大畑さん

石川歌舞伎の世界でも「スーパー歌舞伎」といった、新しいジャンルに挑戦する尖った活動がありますが、神楽の世界にも新しい風は確実に入ってきているということですね。

大畑さん実は、私も20代の時から旧舞と呼ばれる神楽をやっていました。新舞もいいですが、私は旧舞に愛着があります。県外から移住される方にも神楽ファンは多く、海外の観光客も通訳ガイドを連れて楽しまれているようです。

石川日本の地方独特の文化が、海外からの観光客を惹き付けるという流れを考えると、神楽というコンテンツの持つ可能性はかなり高いですね。いつか「スーパー歌舞伎」みたいに神楽で「ワンピース」が演じられることでしょう。

大畑さんそれは、分かりません。

大畑さん

石川そう言えば、こちらのレストランには、神楽の舞台があるそうですね。

大畑さんはい。バイキング料理を食べながら神楽を楽しめる舞台があります。そこではイベントが毎月1回のペースで行われていて、こちらも好評です。

石川バイキングと神楽を同時に楽しむだなんて、最高じゃないですか!しかし、神楽の団体が70あるとなると、こちらのレストランでの神楽公演は、一つの団体につき6年に一度しか出来ないという計算になりますね。

大畑さん団体の中には、「舞うのは秋祭りだけ!」とこだわる団体もあって、その点は色々と調整しています。それでも順番が巡ってくるのは、4年に一度ですね。

石川オリンピックかワールドカップかという、インターバルですね。

大畑さんしかし、ご覧のとおり、照明施設も整い、何よりも熱心なファンが多くいらっしゃいます。演者にとっても張り合いのある舞台ですので、ぜひ機会があれば体験していただきたいですね。

レストラン施設

石川その他にも、地元産品ならではの、面白い取り組みがあるそうですね ?

大畑さんはい。それはキープ米のことですね!

石川キープ米?聞いたことの無い名前です。どういったものなのでしょうか?

大畑さん例えばですが、お米30kgを1万円で購入していただいたとします。しかし、一般の家庭で30kgのお米を消費しようと思ったら、けっこう時間がかかりますよね。お米も生ものですから、鮮度が落ちてしまいます。そこで、道の駅「舞ロードIC千代田」では、専用の保存庫でお米をキープしておくサービスを導入しました。

石川なるほど!ボトルキープの考え方ですね。

大畑さん確かに似てますが…キープしていただいているお米は、カードを見せていただくことで、3kgとか5kgとか、お好きな量を常に新鮮な状態で持ち帰ることができます。美味しい米はやはり喜ばれます。

キープ米とカード

石川アイデアの勝利ですね。キープしておいたお米を受け取りに来ていただくことで、リピート効果も期待できそうです。

大畑さん関西以西の道の駅や生産者の情報ですが、他にこういったサービスをやっているところはないと聞いています。マスコミの方も取材に来られて、結構よく取り上げてもらっています。

キープ米

大畑さん産直市場、神楽を楽しむバイキングレストラン、そしてキープ米のサービス。道の駅ならではの魅力に、地域の神楽と花田植えという観光資源をマッチングできるという強み。これからも全面に押し出していきたいですね。

屋外広告は視線を邪魔しない大型看板。のぼりの活用は少なく今後の課題に。

直売所

石川お話の中でも、太鼓のインパクトを活かした取り組みがあり、文字通り「目に見えた効果」を私たちも実感していますが、屋外の広告物や宣伝物の活用については何か取り組んだりしていらっしゃいますか ?

大畑さんそれが、ちょっと難しくてですね…

石川え!?難しい?

大畑さん実は、のぼりや幕は施設の視界を遮ってしまうこともあって、最低限しか利用できていません。施設の内と外に死角を作らないためです。のぼりの陰に隠れて盗難の可能性もあって、防犯上のデメリットがあるんですよね。

石川そういうことですか。実は以前、商店街を取材させていただいた時に、やはり防犯カメラの死角になるから、のぼりや幕を使わないといお話を聞いたことがあります。これは課題ですね…

参考リンク
  1. 前編の記事

最低限ののぼり
のぼりもあるけど、最低限に抑えているのだとか

大畑さんイベント時の案内は大型看板を目印として出していますけどね。その他、普段の宣伝活動にでは、告知チラシをレジ清算の時に配ったり、店頭の黒板や掲示板を利用しています。また地元のケーブルテレビがイベント前に案内放送をしてくれます。これは効果があります。

石川太鼓やキャラクターをコンテンツと一緒に活用されるなど、独自の工夫が感じられます。最初に施設を整えて、そこから発想がふくらむのもいいですね。施設力というか、それを最大に利用することで、集客につながっている印象です。

山と海の交流で新しい楽しみを提案。これからも出会いをつなぐ拠点に。

直売所

石川今後はどういう集客方法や賑わいの演出を考えておられますか ?

大畑さんこれからは当施設独自の強みや地域の魅力に加えて、「この地域にはない物」を取り入れる発想があります。つまり私ども山間の地域と海側の地域が交流する効果です。それが道の駅という拠点同士のつながりになれば、互いの相乗効果が生まれると思います。

石川確かに、山間に位置する「道の駅」として、地域のコンテンツをフル活用している現状に、他の地域の魅力も発信する力がプラスされたら、これは「鬼に金棒」ですね。実際に、今日も出入口前で島根県浜田(はまだ)からの海産物を販売していますし。

大畑さん定期的に販売いただいています。既に固定ファンもいらっしゃいますよ。道の駅「舞ロードIC千代田」へ来たら新鮮な山と海の幸がある」。これも賑わいのきっかけになればと計画しています。

魚屋さん

石川無敵感がスゴいことになってますね。

大畑さんさらに、この屋外ウッドデッキでは、フリーマーケットも開催していますからね。今後は単発で終わらずに、交流型のイベントを続けたいと思います。

石川レストランにしてもあれだけの設備ですから、多目的な利用が期待できますよね。

大畑さんレストランも地域の交流に活用いただく機会が増えています。例えば学校のPTAやクラブ活動の親睦会。バイキングと飲み放題を提供して評判です。地元に帰省しての同窓会もあります。舞台で生の神楽を上演すれば、ふるさとの良さも実感してもらえます。

レストランと舞台

石川決め細かい企画を継続され、飽きさせない場所になっています。屋外の太鼓はもちろん、しっかりと施設を活かした取り組みに感心しました。今日は興味深いお話をいただき、本当にありがとうございました。

大畑さんこちらこそありがとうございました。

お話の中でも度々登場した道の駅「舞ロードIC千代田」の巨大な太鼓の設置にかかった費用は、決して安いものではありません。
今回、お話の中であったのぼりや看板など屋外広告が死角を作り出してしまい、設置する側が慎重になっているという事実には対策が必要だと感じました。
しかし、屋外広告はのぼりや看板だけではなくステッカーや幕といった、壁との間に死角を生み出さないものも多数存在します。
施設自体へ引き込んだお客様に対して、行われているイベントやサービスへのスムーズな案内を実現するために適切なアイテムは何なのか?
屋外広告の設置の仕方から設置するポイントは私たちもより正確に把握しなければなりません。
お試しではありますが、そのようなアイテムで固めた装飾案を作成してみました。

比較
(注)あくまで「案」です。

また、お話の中でも度々登場した巨大な太鼓の設置にかかった費用は、決して安いものではなく、もしかしたら「無駄なモノ」だと、批判する考えも存在するのかもしれません。
しかし、道の駅「舞ロードIC千代田」では、結果として太鼓による集客が大成功であっても、さらにその先にある「訪れたお客様に楽しんでもらうこと」を考えることで、「巨大な太鼓」を、大いに意味のある屋外広告として成立させていました。

道の駅「舞ロードIC千代田」では、施設の特色をフル活用し、お客様の呼び込みから、実際に訪れる人々の満足度を確実に越える施策で満ち溢れています。
「やりたいこと」と「できること」が、しっかりと吟味されて「やるべきこと」が導き出され、そして確実に実行されていて、さらに視線は次のステップへ向かっています。
それは、北広島町の中にある道の駅として、地域や文化の力を注ぎ込みながら、他の地域の力も呼び込むことで、さらなるパワーアップにつげようという想いであり、とてもクレバーで、「本当に隙が無いな」と、取材を通じて感じ、見習うべき点が多くあった取材でした。

【取材協力】
道の駅舞ロードIC千代田
広島県山県郡北広島町有田1122
TEL.0826-72-0171
道の駅舞ロードIC千代田ホームページ

ご協力いただき、ありがとうございました。

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