見せよう熊野の底力!避難所ではためくのぼり旗が灯す復興の光と願い。

熊野町

 

こんにちは。ポップジャパンの石川です。

先日のぼりラボで、平成30年年7月豪雨のお見舞いを掲載したところ、有り難いことに、その際に撮影した画像についてお問い合わせをいただきました

ポップジャパン

お話を聞くと、
『「広島の底力」のテイストで「熊野の底力」にリデザインしたのぼり旗を制作したい』
とのことでした。

今回の豪雨災害では、熊野町でも大きな被害が出ており、親しく大切な方を失った方、未だに避難生活を強いられている方、不自由な思いをされている方などが、災害から1月が過ぎた今現在でも沢山いらっしゃいます。
そして、ボランティアとして現地に入られて居る方々も含めて、復興のために酷暑の中、日々懸命な作業を続けておられます。
「その方々の心に少しでも元気や勇気の火を灯すことができれば」という想いからのご依頼でした。

熊野町

そしてこの度、制作したのぼり旗を早速立てたということで、熊野町民体育館からご連絡をいただき、実際に現地の様子を拝見しに伺いました。
グラウンドに集められた大量の土砂と廃棄物、そしてコアストーンと呼ばれる巨大な岩。
のぼり旗が立つ道を、やはり土砂を満載したトラックが走る姿には言葉を失いました。

そのような現実の中で、熊野町を応援するのぼり旗が少しでもお役に立てているのか、そして避難所という場所で、ポップジャパンとして微力でも応援することはできないか。
熊野町民体育館の館長であり、NPO法人熊野健康スポーツ振興会事務局長の荒谷茂樹(あらたにしげき)さんにお話を伺いました。

 

確かに被災した。大変だ。でも前を向かなければ!

熊野町

石川
「この度は、お忙しくそして大変な時にお時間をいただきありがとうございます。早速ですが、今回ののぼり旗の評判っていかがでしょうか?みなさんに気に入ってもらえていますか?」

荒谷さん
「のぼり旗は今の所、公民館、町民会館、図書館各学校などの他、ボランティア団体に配っています。企業様には購入していただいていますが、もう半分以上はさばけてて、残りは60枚くらいかな。好評ですよ」

石川
「すごいですね!実を言うと、ご注文を頂いたときは内心『こんなに枚数多くて大丈夫なのかな?』って思っていたんですけど、完全に杞憂の様です」

荒谷さん
「いや、もしかしたら追加注文しなければいけないかも知れませんね(笑)」

石川
「あまりこういうことで商売っ気を出しては…と考える場面ですが、素直に『ありがとうございます!』と言わせていただきます」

荒谷さん
8月8日にはテレビに出ますよ。広島テレビで4時50分の『テレビ派』。マツダスタジアムの前で特番らしいです。そこにのぼり旗を持って出演し、今回の取り組みや想いについてアピールする予定です」

石川
「それは凄いですね!のぼり旗に込めた想いが広まれば我々も嬉しいです!」

荒谷さん
「新聞にもそろそろ載ると思いますよ。ただ今日も記者の方に『いつ載るの?』と聞いたのですが、『今は紙面が埋まってて…』てことで」
※8/8の中国新聞朝刊に、記事が掲載されました。

 

石川
「確かに今の時期は色々な話題があるし、それは無理も無いですね」

石川
「そもそものお話になってしまうのですが、今回こういったのぼり旗や幕を作ろうと考えたきっかけは何だったのでしょうか?」

荒谷さん
「今回の災害は誰も予想だにしていなかった大きな被害となりました。それまで多くの人が『熊野町に限って大丈夫だろう』と思っていたことも事実です。信じられない災害になりましたけど「いつまでも『大変だ』とか『気の毒だ』とか言うのはやめよう」「前を向いていかなければいけない」と、みんなが考えはじめたのが最初です」

石川
「陳腐な言い方ですが『強さ』と言うか、生きているからこその力ですね」

荒谷さん
「そこでひとつ『どんな言葉を掲げたら皆さん元気が出るのか募集してみようか』って、ご協力頂いている方々と話をしていたんです。その折に、ポップジャパンさんの『見せよう!広島の底力』というフレーズが出てきまして、「これこれ!」ってなったんです」

石川
「元々、熊野の神社の奉納のぼりをポップジャパンにご注文いただいた企業様に、そのご縁でメールマガジンを送付させて頂いていたのですが、そこからのご紹介だったそうですね」

荒谷さん
「良いのぼり旗と幕を作って頂いてありがとうございます」

石川
「とんでもないです」

荒谷さん
「先日もテレビ局の方が撮影しておられましたね。『以前来たときは無かったですけど、こののぼり旗はどうされたのですか?』って尋ねられましたよ」

石川
「連続設置の効果もあって、インパクトのあるものになっていますね。本日、こちらに向かいながら多少なりでも、皆さんを元気つける手助けになっていればいいなと思っておりました」

 

それぞれが、それぞれの当たり前の日常を取り戻すために

熊野町

石川
「今回、お話を聞きに伺ったのは、もちろん「ポップジャパンがご協力させて頂いたのぼり旗の紹介」という意味もありますが、同時に情報を発信することで、微力ながら避難所のお手伝いになればと考えています。何か困っていること、足りていないものなどはありますか?」

荒谷さん
「そうですね…『何が足りていないか?』という答えはとても難しいんです。例えば、新しい家が決まった方がいたとしても、災害で家ごと失ってしまったワケですから『何も無い』からのスタートなんです。家に泥棒が入って何か持っていかれたのとは話が違う」

石川
「そうか。今まで当たり前に使っていたものや身につけていたものが全て失われた人も沢山いらっしゃるワケで、となれば『何か足りないものはありませんか?』という問いすら、見当違いになってしまうのですね」

荒谷さん
「ちょっとした、些細な事かも知れませんが、避難所で支給の紙やプラスチック食器でばかりご飯を食べていると、やはり『陶器のお茶碗でご飯が食べたいな』という声も聞きました。極端な話、自分のパンツ一枚だって無い人がいる状況で『何が足りていないか?』と言われたら、その答えは『人それぞれ』としか言いようがありません」

石川
「色々な物資が届いていると報道では聞いていましたが、確かに下着や食器なんて自分で納得して買ったものを使いたいし、使い続けたいし、だからこそ、そこに愛着や思い入れが宿るんだと思います。そこを求めてしまう心情は、決して贅沢やワガママではありません」

荒谷さん
「だから、少しずつでも自分で買い物に行って揃えながら、みなさん『自分の普通の日常生活』を再構築されようとしています」

石川
「人それぞれに、今までの生活があったわけで、今回その全てが失われた状態からまた『自分の日常』を取り戻す大変さは、想像できないものがありますね」

荒谷さん
「避難所生活の中ではボランティアの方のサポートや寄付もあり、『◯◯が不足している』と情報を出せば、すぐに物資が集まりますので今は特に不自由は感じません。ありがたいことです。だからこそ、家に戻った時にどうなってしまうのかという不安はあります。その時に我々はどこまで心配していいのか、分からないですね」

石川
「『家に戻れたからめでたしめでたし』ではなくて、そこからの生活の立て直しという大きな作業が残っているワケですからね」

荒谷さん
「私達もここで一緒に生活をしていますが、『本当の当事者』ではありません。近くに居るものとして寄り添いたいと常に思っていますが、本当の一番深いところにまでは踏み込めません。だから、なんとか頑張って欲しいと願うだけです。我々も、いつまでも『大変だ大変だ』と言ってるだけじゃどうにもなりませんから、のぼり旗で少しでも勇気と希望を持っていただけたらと思います」

石川
「今回ののぼり旗が、ほんの少しでも立ち上がるお手伝いになればと願っています」

 

感謝の気持ちと、みんなで笑いながら『ちょっと一休み』

熊野町

石川
「今この避難所から発信したいメッセージはありあますか?」

荒谷さん
「それはもう『感謝』しかありません!今日もボランティアの方が来て下さって倉庫の移動をしてもらっています。本当にありがたいです。」

石川
「先程チラっと見たのですが、自衛隊の野外入浴施設も設営されているんですね」

荒谷さん
「そうですね。自衛隊の方も最初は青森から、その次は山形、今は広島(海田)から来ていただいています。これも助かるし、ありがたいですね。この間は名古屋からトラックいっぱいに日用品や野菜を届けて下さった方もいました。トイレットペーパーもたくさんで、使い切れないくらいですよ」

石川
「日本全国からの応援頂けているというのは、心強いですね」

荒谷さん
「冗談めいて『今回の災害で熊野町は日本全国に大きな借りを作ったなぁ』なんて言ってるくらいですから」

石川
「ここから皆さんが、元気にそれぞれの生活と日常を取り戻されることが『借りを返す』ということになるのかも知れませんね」

荒谷さん
「そうですね。本当にそうだと思います」

石川
「近々、お祭というか催しがあると聞いたのですが?」

荒谷さん
「はい。今度の8月11日に、慰霊を兼ねて『ちょっと一休み』という題でミニ縁日を催そうと企画しています。現在の避難所4箇所に避難している人全員が集まります。子供たちが喜ぶような楽しい夜にしたいですね」

石川
「『ちょっと一休み』っていいですね。張り詰めてばかりではとても体がもたないですし。本当に、ふと皆さんが笑顔になれるお祭りになることを祈っています。本日は貴重な時間をいただき、ありがとうございました」

 

取材を終えて

熊野町

「見せよう熊野の底力」。
のぼりラボの発信がきっかけとなり、今回ののぼり旗と幕の製作依頼をいただきました。
そしてこの度、実際に掲示されている熊野町民体育館にお邪魔し、想像を超える量の土砂を目にし、避難されている方の実際について、その僅かな部分をお聞かせいただきました。
住み慣れた家を失い、大切な人を失い、気が滅入る酷暑の中で避難生活を続けながら、それでも「前を向こう」と思った時に、我々はその『想い』を旗として幕としてカタチにすることしかできません。
それでも、こののぼり旗を見て、書かれているメッセージを読んで、ほんの少しだけ明るい気持ちを持つことができたのなら、こののぼりラボを続けてきた意味があるのかも知れません。

災害から一月。
それでも体育館に向かう道中でも大きく削れた山肌をいくつも目にし、崩れたままの道の脇を通りました。復興への道はまだまだこれからですが、今当事者として踏ん張り続ける人たちを応援する活動をのぼりラボでも続けていきます。