ポニョのモデルになった町。鞆の浦の魅力について福山市観光課で聞いてきた!

石川

石川

こんにちは。ポップジャパンの石川です。
ちょっぴり昭和歌謡や演歌のレコードジャケット様な様子で失礼します。

今回はテレビドラマ『流星ワゴン』のロケ地としてや、アニメ映画『崖の上のポニョ』の舞台モデルにもなった、広島県福山市の『鞆の浦』を訪れました。

のぼりラボは過去2回、広島県内の重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)である『竹原地区』と『豊町御手洗』を取材し、伝統的な町並みと屋外広告の共存について探ってきました。

今回訪れた『鞆の浦』も歴史が深く、室町幕府の将軍『足利義昭』が拠点を構えたことがあれば、江戸時代からは海上交通の要所として栄え、幕末には『いろは丸』に乗船していた『坂本龍馬』が滞在するなど、様々なエピソードが散りばめられています。

また、古くからの町並みが現存しており、都市景観100選や美しい日本の歴史的風土100選にも選ばれています。
江戸時代の港湾施設である「常夜燈」、「雁木」、「波止場」、「焚場」、「船番所」が全て揃って残っているのは全国でも鞆港のみであり、その美しい町並みに魅せられた映画監督『宮崎駿』が鞆の浦に滞在し『崖の上のポニョ』の原案を執筆したというエピソードは有名です。
実際に現地を見てきましたが、国の重伝建指定には未だ至ってはいないけれども、その歴史的な重要性や町並みの美しさは、「重伝建レベルと考えて差し支えないのでは?」と個人的に感じました。

今回は、そんな「重伝建登録間近」な景勝地『鞆の浦』で、町並みと屋外広告の在り方について、福山市 経済観光局 文化観光振興部 観光課 庶務担当次長である『藤坂雅美(ふじさかまさみ)さん』にお話をお聞きしました。

石川

藤坂さん
※藤坂さんは顔出しがNGでしたため、イラストで出演していただきます。

鞆の浦は歴史がスゴイ!

石川「今回は貴重なお時間をいただきありがとうございます」

藤坂さん「よろしくお願いします。詳しい話はできないかも知れませんが、私の知っている範囲でお話させていただければと思います」

石川「いきなりで失礼ですが、藤阪さんは福山の方ですか?」

藤坂さん「そうですね。福山の出身です」

石川「良かった!いえ、今回は観光課としてのお話もお伺いしたいのですが、その前に福山の方にとって『鞆の浦』が、どういったトコロなのかお聞きしたかったもので」

藤坂さん「福山出身の個人的にということですと、やはり『福山で観光するならどこ?』と聞かれた時に、『鞆の浦』は最初に出てくる名前ですね」

石川「いわゆる観光地って全国各地にありますけど、地元の人達からすると、今更物珍しも無く『わざわざ行かない』とか『子供の頃は遠足で行ったきり』なんて声もありますが、その点『鞆の浦』はどうですか?」

藤坂さん「その点だと、鞆の浦は逆だと思いますね。子供の時は海水浴で来ることが多いですけど、現存している歴史ある町並みを楽しむというのは、むしろ成人してからの方が多いと思います」

石川「ある程度の知識がついてからの方が、より魅力的に感じる観光地ということですね」

藤坂さん「そうですね。歴史を知ったり、鞆の浦がロケ地になった作品を見られることで、鞆の浦の魅力は深くなると思います」

石川「ありがとうございます。では、ここからは観光課としてのお話をお聞かせいただければとおもいます」

藤坂さん「お手柔らかにお願いします。笑」

鞆の浦

鞆の浦は町並みもかなりスゴイ!

藤坂さん

石川「鞆の浦という町は、古くからの町並みや景観が現存していることで観光地化されていますが、観光課での主な活動はどのようなものがございますか?」

藤坂さん「観光課としては『鞆の浦ってこんなところですよ』といった感じの観光パンフレットなどを作成して、PR活動をしています」

鞆の浦

石川「アイテムの中では観光のポイントもたくさん紹介されていますね。これは実際に観光課スタッフの方が現地調査されたりしているのですか?」

藤坂さん「流石にここに載っている全てを観光課の職員が回るのは難しいですね。現地のご協力があってのことです。ただ、このイラストマップ!これは観光課の職員が描いています!」

鞆の浦

石川「あ、これはスゴイ!」

藤坂さん「是非お手にとって頂きたいと思います」

石川「しかし、鞆の浦って昔一度だけ訪れただけなので、『有名な常夜灯があって海が見えるところ』というイメージだったのですが、こうしてマップを見ると、港から神社や町並みを含めて結構広いですね。驚きました」

藤坂さん「そうですね。歴史が深いこともあってかイメージされているよりも、内陸の方まで町並みが広がってるのではないかと思います」

石川「年間の観光客数など、鞆の浦の観光にまつわるデータなどを教えていただくことはできますか?」

藤坂さん「鞆の浦には、年間約200万人が訪れています。人気のスポットは、やはりシンボル的に捉えられている常夜灯ですね。みなさん、そこで写真を撮られます。それから鞆の浦には『渡船場』があるのですが、そこから船に乗って『仙酔島』に行かれる方も多いですね」

石川「船というと『いろは丸』ですか?実は、ずっと昔に見かけたことがあります。失礼ですけど、こちらは現役なのでしょうか?」

藤坂さん「もちろん!現役で活躍してますよ」

石川「『いろは丸』は『坂本龍馬』に縁がある船ですし、本当に鞆の浦は歴史と絡むなぁ(笑)歴女(れきじょ)的な人や、純粋に歴史好きな人には堪らないスポットですね」

藤坂さん「そうですね。手元に詳細なデータは無いのですが、年配の方だけでなく、最近は若い女性のグループも増えていますね。よく写真を撮ってらっしゃる姿を見かけます」

石川「しかも、鞆の浦と言えば映画やドラマの撮影にも多く利用されていますよね。鞆の浦が舞台の作品が公開されると、お客様が増えるといった影響は感じられますか?」

藤坂さん「メディアの効果は大きいと思います。ロケ地やモデルになったとされる場所だと、現地の方々による紹介がされていたりしますよ。観光課としても、保存地区外である海沿いの道に『いろは丸』ののぼり旗を立てました」

石川
顔はめパネルもありました。

鞆の浦のスゴさを、どうやって残していくべきか。

石川「鞆の浦に訪れる際に気をつける点として、道がとても狭いこともあって自家用車で乗り入れることは、あまりお勧めでないと思われます。駅からは離れた立地ですが、交通手段としては、福山駅からバスで訪れるのが一般的なのでしょうか?」

藤坂さん「そうですね。公共の交通機関をご利用いただければと思います」

石川「歴史との関わりも深く、見どころが多い鞆の浦ですが、散策して楽しもうと考えた場合、どの位の時間感をもって動いたら良いでしょうか?」

藤坂さん「やはり1時間か2時間は見ておかれたらと思います。しかしながら、どれだけ鞆の浦のディープなところまで覗いてみるかで、滞在時間は変わってくると思いますよ。笑」

石川「以前、重伝建である御手洗地区を取材した際に聞いたのですが、『歴史的に価値のある町並み』とされた建物群にも、江戸、明治、大正、昭和と時代とともに姿を変えてきた『人々の暮らしの歴史』があるわけで、認定後も引き続き人が暮らしていく以上は、『認定された時点での町並み』が永劫続くことは無いっていうことでした」

御手洗

石川「時代とともに移り変わる『暮らしの場としての町並み』と『観光資源としての町並み』のバランスを取る難しさってありませんか?」

藤坂さん「その点は、観光資源として町並みを保全すべきだけど、しかし観光地としてお客さんを沢山呼びたいというジレンマにもつながりますね」

石川「同じく重伝建である竹原地区でも、『昔から普通に暮らして商売しているだけの町に、人がたくさん来るのは良いことばかりではない』といった意見は聞かれましたね」

藤坂さん「そうですね。地元の方々は、そこで生活をされているのですから、観光客が増えすぎて自分たちの生活の場に知らない人が多く入って来ることは気持ちの良いことではないという意見は確かにあります。もちろん『おもてなしの心』で、観光客の方々に喜んでいただこうという意見も多くあります」

石川「行政としてどちらの味方をするワケにもいかないでしょうし、観光資源をアピールする取り組みとしては、そのあたりには難しさがありそうですね。重伝建ともなると、町並みに関わる制約も厳しくなるのではないでしょうか?」

藤坂さん「その点は免れませんね。特に建物を建て替えるときには規制がかかりますが、これは価値のある町並みを保全していくためには、特に重要な事だと考えています」

あと、鞆の浦はイベントもスゴイ!

鞆の浦

石川「重伝建としての切り口から観光課として人を呼べる取り組みというのはいかがでしょうか?広島でもまだ数は少ない指定地域ですし、インパクトはあると思います。今はホームページも素敵なものがつくられていますが、あの様なものは歴史的な良さを全面に出すコンセプトなのでしょうか?」

藤坂さん「そうですね。やはり歴史のある町並みというのが一番の売りかなと考えます」

石川「今はどこの観光地も滞在型というか、ただ見て回るだけではなくてそこで何か体験できるような仕組みを考えようという流れなのですが、福山市としてこのエリアで何か新しいイベントや施設ができる可能性はあるのでしょうか?」

藤坂さん「施設は難しいかもしれませんが、イベントは鞆の浦でも色々なものを開催しています。日韓トップの囲碁対決ですとか、鞆の浦町並み花巡りですね。フラワーアレンジメントを飾ったり、寺院に生花を飾ったりして街を巡っていただきます。それから弁天島では花火大会が行われまして、こちらも迫力がありますよ」

石川「日韓の囲碁対決というのは朝鮮通信使の歴史に因んだものですね。日にちが被っているものは両方楽しめてお得ですね。全体的には今ある町並みを利用して、また新しい可能性に結びつくきっかけを作られているのですね」

鞆の浦

石川「先ほど、いろは丸150年ののぼりを立てられたという話をお聞きしましたが、そういったのぼりや屋外広告を使ったイベントの告知やPRは観光課としてされていたりはするのでしょうか?」

藤坂さん「数は多くないですけどね。やはりあまり派手すぎるのも難しいものですから。観光課としては、観光客の方にたくさん来ていただくことが本来の役割。こうしてイベント関係の広がりを続けて、今度はリピーターを作ることが大事なのかも知れません。」

取材を終えて

これから国の重伝建指定に向けて着々と動いている『鞆の浦』を実際に訪ね、道行く人の声を聞くと「ドラマの舞台になった町に来てみたかった」という声、そして「情緒ある町並みに魅了された」と言う声を聞くことができました。

かの『宮崎駿』監督が滞在中に往来したという道に立つと、確かに懐かしさと心安らぐ空気に魅せられ、名産である『保命酒』の独特の香りが漂う迷路のような小道を曲がると、また懐かしくも新鮮な光景と出会います。

鞆の浦

そんな町並みを活かしながら、沢山のイベントが開催され、そして福山市の観光課は精力的にその魅力を発信されていました。

これからの鞆の浦から目が離せません。

鞆の浦
崖の上のポニョにも、似た形の家が出てきたという赤い三角屋根。
今度はポニョ好きの家族を連れて訪れたいと思います。


取材強力:
福山市 経済観光局 文化観光振興部 観光課 庶務担当次長 藤坂雅美さん
鞆の浦のみなさん

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「販促メーカー」

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