瀬戸内の観光地で確かな引き込み効果を目撃した

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瀬戸内海に浮かぶ自然豊かな島、江田島。
その島内にある人口約24,000人の街、広島県江田島市はかつて海軍兵学校が置かれていたことでも有名ですが、瀬戸内の温暖な気候を活かしたみかんの栽培も活発で、こちらも大変甘くて美味しいと全国的に知られています。

このたび「地域のぼり」の調査企画として江田島市をチョイスしたのも、まさにみかん収穫の最盛期である11月の終盤でした。
黄金色に輝く島内の山々。芳醇な柑橘香。
観光シーズンとして考えてもベストなこのタイミングを逃す術はありません。
天高く馬肥ゆる秋。我々ののぼり探索熱はその五感においていやが上にも高まります。

行こう江田島!今回の取材は江田島以外にありえない!!
ほとばしる期待感。それは「間違いなく観光シーズンにおける農園地域を対象としたのぼり調査なのだ」と自らに言い聞かせながら私たちは一路江田島へと車を走らせたのでした。
そうです。決して美味しいみかんが食べたくなったというワケではないのです。

不慣れな観光客を連続のぼりが目的地へといざなう。いざ、みかん狩り体験ロードへ!

島に入りしばらく車を走らせていると、ようやくのぼりに出会いました。第一のぼり発見です。

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島という土地柄、船でいらっしゃるお客様も多いそうなのですが、観光農園のそれも山肌に沿うみかん農園ともなれば車でなければ現地に到達することもなかなか難しいのは事実です。
実際に現地で聞いてみたところ、江田島へ観光でいらっしゃる方の多くは橋を通ってかフェリーを利用する人が多いという話でした。

さて、先に紹介したこの第一のぼりに話を戻しましょう。
道端に雄雄しく立つ黄色と緑のシンプルながら立派なのぼりです。
「みかんのイラスト」と共に大きく書かれた「みかんの文字」。潔いデザインで分かりやすいですね。広い青空に黄色がよく映えます。
これが道端に連続して立ち、さながら道案内をしているかのようでした。間隔としては100m程度のスパンといったところです。
そしてのぼりの下部には「ヤマト宅急便」のロゴが。はて、これは何でしょう?

考えられるストーリーとしては「ヤマト宅急便」から「のぼりを立てませんか?ロゴ入りなら無料ですよ」という提案があったのかな等と推測できます。
或いは「みかん狩りで収穫したものを宅急便でお届けできます」という意味かもしれません。
だとすると、これはちょっと惹かれるサービスです。つまり「手ぶらでみかん狩り」ですね。
ついつい採りすぎて帰りの道中車内が思いのほか狭くなってしまったなんて事態も避けられますし、観光バスで集客体験にいらっしゃるお客様にしても荷物が増えないのは嬉しいポイントですね。
積載性の無いバイクツーリングで観光に来られる方への訴求性も高そうです。

そんな、のぼりに誘われるまま車を走らせると、そこには観光みかん農園とその駐車場が現れました。
なるほど。この「みかん」を全面に推し出した連続のぼりは、こちらのみかん狩りが体験できる観光農園へと誘導する効果を目的として立てられていたようです。

この引き込み効果も兼ねたのぼりの誘導は駐車場まで続きます。
一般の車両だけでなく、みかん狩り体験の団体客でしょうか、観光バスも数台停まっており大盛況のようでした。

農園地帯は予想を超えて広い。そして結構分かりにくい

調べてみると、江田島市内には観光みかん園は3箇所あるようです。
今回はのぼりに導かれてそのうちのひとつに辿り着いたのですが、その背景には農園ならではの、我々のような農業体験の経験が浅い初心者観光客が戸惑ってしまうポイントがいくつかありました。

まず第1に、そもそも観光農園の場所が分かりにくいということ。
なにしろ島内には広大なみかん農園が観光農園以外にもいくつもあります。そして当たり前なのですが、一面みかんの木が立ち並び、農園と農園の区切りが素人目にはよく分かりません。
それなりに土地勘が無いと自分の目指している観光農園がどこなのか、今の道で合っているのか途方にくれてしまいそうなレベルなのです

そして、ようやく目的地にたどり着くと「さて車をどこに停めよう」「駐車場はどこだ」となるのですが、これがまた結構むずかしい!
街中にある舗装されてピタリと白線が引かれたパーキングとはワケが違います。敷地の入り口に立つ「P」という看板が、かろうじてここが駐車場として用意されている土地なのだという事実を指し示す程度。
ここでもやはり土地の境界がぱっと見ただけではよく分からないのです。

不慣れなお客様に語りかける のぼりを使ったおもてなしの心

そこで今回目にした連続のぼりの効果です。
我々は江田島市という初めての土地で目にした「みかん」のぼりにより観光農園に導かれ、戸惑うことも間違えることも無く車を停めることができました。
文字にしてみれば何だか当たり前のことのようですが、その「当たり前」を実現するために果たされたのぼりの効果は、この地域において重要な役割を担っていました。

目立つこと。そして誘導すること。
のぼりの根源的なアイデンティティとその効果が如何なく発揮された、土地勘の無いお客様に訴求する効果的かつ分かりやすい事例だと思われます。
そして結果として観光農園は家族連れをはじめとして多くのお客様で大盛況。
遠方からも観光客が訪れる江田島の地でのぼりは確かな集客効果をもたらしていました。

更なる訴求効果を求めて。江田島のヒントから観光地のぼりの可能性を考える。

今回の取材では、のぼりの持つ「誘導効果」という機能が観光客に対して効果的に発揮されている事例と出会うことができました。
どれだけ分かりやすくお客様に農園までたどり着いてもらうか、戸惑うことなく駐車していただくか。
昨今のカーナビゲーション技術の発展も目まぐるしいモノではありますが、それでもこうして実際的に道案内役が道路脇に立ち確実に目的地へと向かっていると実感できることは心のゆとりにも繋がることでしょう。
それは余計な心配をせずにみかん狩り体験を存分に楽しんでほしいというおもてなしの心の現われと言えます。

そしてそれは今回、道端に立つ「みかん」とのみ書かれたのぼりを連続で立てたことのみで実証されていたということには驚かされるばかりです。
ではここに更なる集客効果向上の施策を追加したら…と考えたらワクワクしてきませんか?

たとえば「みかん」だけでなく「みかん狩り」と書かれたのぼりだったらどうでしょう?
より目的地感が増してきますね。当初「みかん狩り」を目的とせず江田島へ観光に来ていた人にも「そういうのもあるのか」という気づきに結びつける効果も期待できます。

そして設置場所も重要です。
島という土地であれば、観光客の入り口もかなり絞られてくるのではないでしょうか。
今回の江田島であれば、港と橋。ここで「みかん狩り」を効果的にアピールできれば、観光客ほぼ全員に存在を認知してもらうことも理論的には不可能ではないのです。

設置本数やその間隔について考えてみることも重要ですね。
のぼりの内容も変化させながら「○○観光みかん農園まであと□km!」と誘導看板的な役割をのぼりに持たせてみれば、その引き込み効果もより増大することと思われます。
他にもシーズン毎に違う内容ののぼりを付け替えてみたり、農園の具体的な施設・特色を紹介する内容を掲げてみても面白いかも知れません。

江田島みかんの黄金色に身も心も指先も黄色く染められた我々は、間違いの無いのぼりの効果に確かな満足感を覚えながら江田島を後にしたのでした。ごちそうさまでした。

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