第一弾 : 鷹野橋商店街[広島市中区]未来へつながるイベントラッシュ!外国人も驚き喜ぶ全力のおもてなし商店街

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

鷹野橋

広島市中区。国道2号線と国道54号線が交わる広島市役所前の交差点から、100mほど南へ行くと「鷹野橋(たかのばし)商店街」というアーケードを持つ商店街が見えてきます。

    参考リンク
  1. 広島市タカノ橋商店街振興組合

広島市内中心部から徒歩圏内というアクセス性の高さを誇り、付近に高層マンションがいくつもある立地にありながら、温かな下町情緒が漂う商店街には懐かしささえ感じます。
商店街のルーツをたどると、大正時代にまで遡り、戦争・原爆の被害に遭いながらも逞しく復興し、昭和40年に象徴的なアーケードを完成させたという歴史がありました。
記録によると「日本で始めてモーニングサービスを始めた喫茶店」が商店街の中にあると言うから驚きです。

ぶらじる
モーニングの始まりが鷹野橋だったとは…

そんな長い歴史を持ちながら、今でも「地域の商店街」として精力的にイベントを企画し、お客様の呼び込みに力を注いでいる鷹野橋商店街。
様々な「お祭り」を催すことは、賑わいや活気をアピールし、商店街の将来につながる取り組みであり、そして地域を盛り上げる気持ちで行われていました。

今回の取材は「商店街で活きる屋外広告」について調査。その第一弾です。
広島市タカノ橋商店街振興組合」の専務理事である青木(あおき)さんに、商店街で行われているイベントから集客についての考え方など、鷹野橋商店街らしさを活かした特色豊かな取り組みについて、お話を聞きました。

商店街で国際交流!?外国人も”惚れた”鷹野橋的ホスピタリティ!

石川と青木さん
「のぼりラボ」の石川(左)と、今回お話を伺った青木さん(右)

石川以前、鷹野橋商店街で海外の方との交流イベントがあったとお聞きしました。商店街として、そういった企画が実施されるのは珍しいと思うのですが、どのような経緯があったのでしょうか?

青木さん一昨年(2015年)に広島で国際会議がありました。その際に、海外から来られた方を商店街にお呼びして鷹野橋周辺の方と交流するイベントを行いました。約80ヶ国、200人以上の人が海外から来てくださいました。

石川商店街のアーケードの下で「おもてなし」をしたことに注目が集まりましたよね。鷹野橋商店街で実行することになったきっかけは何だったのでしょうか?

青木さんアーケード下でおもてなしをしよう」という企画は、初めてのことでした。事前に代表の方が2回ほど商店街へ視察に来られましたね。「一体、ここで何が出来るのか」と。その時の評判はよく分かりませんが、総務省の次長の方が来られた時に、「やるだけやってみよう」という話にまとまったんです。

写真
イベントの様子(写真)が飾られていた

石川鷹野橋商店街にはアーケードもありますし、奥行きや道幅の広さもありますから、キャパシティとしては問題ないようですが…しかし、チャレンジでしたね。準備やイベント企画も大変だったのではないでしょうか?

青木さん商店街のマップを作って、それを分かりやすく英字表記にしました。それから、別のイベントで太鼓を披露してくれている方々にお願いして、太鼓と獅子舞を演じていただきました。また、安佐南区の高校の書道部の学生さんに、書道のパフォーマンスをしてもらいました。他にも、広島市のコンベンションの方が、大道芸人の方とフェイスペイティングをして下さる方を呼ばれました。広島市立大学の国際学部の学生さんが10人以上、ボランティアとしてサポートしてくださったり、コンベンションの方が通訳というカタチで40人くらい来て下さいました。

アーケード

石川まさに総力をあげて取り組まれたのですね。それだけに反響も大きかったと聞きました。

青木さん大変、喜んでいただけました。今まで、そういった「地域との交流イベント」といってもホテルの中で行われることが多かったようですから。実際の街に出て、現地の人たちと交流できたということが、海外の人たちに喜ばれましたね。一般的な日本人の暮らしに触れることができたからだと思います。東京から、総務省の担当の人が来ていたのですが、成功している様子を見て、感動して泣いておられました。思わず、私ももらい泣きするところでした(笑)

おもしろ企画が目白押し!鷹野橋イベントラッシュが凄い!

石川国際交流イベント大成功の経験は、今後の商店街イベントにも大きく活かされると思いますが、他に鷹野橋商店街では、どのような取り組みをされているのですか?

青木さん鷹野橋商店街ではイベントを色々やっています。4月のはじめは、地域の方々と近くの公園でお花見。その時、消防署の人に来ていただいて、避難訓練とか消化訓練とかを行っています。そして4月の第4日曜日には、「給食に携わってる人たち」と一緒に「給食祭り」というのを行います。

桜を愛でる会
イベントの様子が商店街内で紹介されていた

石川給食でお祭りというのはおもしろいですね。

青木さん給食の試食を皆さんにしていただき、給食に関心を持ってもらう狙いがあります。そして今問題になっている「給食費の滞納」という、なかなか理解が進みにくいことについてのPRも兼ねています。その時に市の職員の方も来られるので、ゴミの収集車にも来てもらって、ゴミの分別とか、色々なことを学習してもらいます。それから5月からは第2、第4土曜日を「アーケード祭り」として、アーケード下で飲んだり食べたりできるような催しを10月までやっています。また、6月には「はしご酒祭り」があります。これもけっこう評判がいいんですよ。

石川はしご酒祭り!!? (ゴクリ)もっと詳しくお願いします!

青木さんこれまで4回開催しました。4枚つづりのチケットでワンドリンクとワンフードを食べていただきながら、色々な地域のお店を巡ってもらう(はしごしてもらう)企画です。去年は鷹野橋だけ約30店舗で開催できました。それから、前売り券の表紙を使った抽選会も行っていて、景品が当たるという企画もあります。これも喜ばれますね。反響も大きくて、今年もやろうと考えています。

石川6月が楽しみです!先ほど商店街の中を歩いたのですが、子供が描いたと思われる絵がたくさん掲げてありました。あれは、どういったものなのでしょうか?

青木さん千田(せんだ)小学校の児童に、5月から12月にかけて、商店街に来てもらっています。商店街にどんなお店があるのか見てもらって、お店に対して分からないことや質問があれば、訊いてもらうという企画ですね。販売体験をしてもらうイベントもあって、児童たちが各お店の絵を描いて、その絵を飾った下で販売をするのです。

小学生の絵

石川貴重な社会体験の場が提供されていますね。次の代へつなげていくという意味もあると思います。

青木さんそういった体験の出来る小学校も今は少ないようです。ですから校長先生や担任の先生も、凄く喜んで下さいますね。また、児童がお礼の文章を書いて持って来てくれて、その殆どに「ありがとうございました」「またお母さんと一緒に来ます」「買い物に来ます」と書いてありました。中には、「体験が楽しかったから将来はお店をやりたい」と書いてくれる子供もいたりして(笑) やっぱり、そういう声を聞くと私たちも嬉しいですね。そういう気持ちを持ってくれるということが。子供たちから「お母さん、鷹野橋行こうよ」って言ってくれることを願って、続けていこうと思います。

石川毎年8月6日に行われる慰霊祭にも子供たちが多く参加しているようですね。

青木さん子供たちに灯篭を作ってもらっていて、これを使った慰霊祭に来てもらいます。他にも8月26、27日に地域のお祭りがありますね。鷹野橋の地域の峯本(みねもと)稲荷っていう神社がありまして、そこのお祭りです。その時に子供たちを呼びまして、バタバタ(※)の紙芝居をやります。それから、私たちが神輿を造ります。子供たちにも法被を着てもらって祭りを楽しんでもらいますよ。神輿も引っ張ってもらいます。

(※バタバタ:鷹野橋周辺にでると伝わる妖怪)

灯篭のパーツ
実際に灯篭になるパーツ。本番ではこれを組み合わせるとか。大きい。

石川季節と共にある伝統や、歴史に添った特色のあるイベントを行っているんですね。それにしても年間通してかなりの数で驚きました。やっぱり商店街の皆さんで意見や知恵を出し合って行事を決定しているのでしょうか?

青木さんそうですね。月に一回のペースで会合を開きます。「飲食スペースのテーブルの並べ方」とか、踊りに来てくださる団体を手配したりとか。「次に何をするか」って考えてると、従来のモノに追加されて、年々イベントが増えてるっていう現状がありますね(笑)

石川やはりそれなりのコストもかかっていると思いますが?

青木さん実際のところ、回収できているかというと難しいですね。ただ今の時代、色々な商店街の元気が無くなって来ている中で、「鷹野橋は元気で何かやっとるよ」っていう発信をしたいんです。たくさんイベントをすることで「がんばってるな」ってことが伝わって、「自分たちもがんばろう!」って励みになればと思います。

石川賑わいによって、周囲を元気付けることが目的ということですね。

青木さんこれだけ世の中に大型店がたくさん出てきて、地域ごとにスーパーがあって、コンビニもあって、営業時間も長くなって、そういう中で商店街にお客を呼ぼうとなったら、難しいです。だからこそ、逆に「こういうことが、商店街ならできるよ」っていうことを打ち出して行きたいですね。小学校や商業高校、それに大学との連携をしていることもその一つです。

石川地域の子供たちも成長した時に、「鷹野橋って楽しい」「あの時、販売体験をしたお店がお気に入り」といった意識があれば、今度はお客様として商店街に来てくれると思います。まさに、次の代へつなげる取り組みなのですね。

全ては地域の未来のために。商店街の未来予想図を描く。

寄せ書き
商店街で働く人たちの言葉。温かさが伝わってくる。

石川鷹野橋商店街では、沢山の魅力的なイベント企画が、賑わいや活気につながっていて強い一体感を覚えました。一方、最近では活気が無くなっている商店街が増え、存続の危機だというところも多いそうです。鷹野橋商店街の未来については、どうお考えでしょうか?

青木さん鷹野橋商店街の大きな利点に「立地」があります。ここは公共交通機関がとても便利で、バスも路面電車も近くを通り、待たずに乗れます。ここは住むにあたって車が要らないのです

石川確かに、病院も近くて数も多い。役所も近い。銀行も揃っていますし、郵便局もあります。この利便性は大きいですね。

青木さん近くにお店の無い郊外の団地では、高齢者の方々が「買い物難民」となっていると聞きます。最近では高齢者の事故が大きな問題として取り上げられていますが、そのような地域の高齢者の方は車がないと、買い物も満足にできません。この先の高齢化社会で、そうした人たちがもっと増えてきたとき、この便利な鷹野橋商店街が注目されると考えています。

石川路面電車とバスの両方を便利に使えるというのも、実は広島市内でも少ないですからね。近隣には500戸くらいあるマンションも新たに建つそうですし。

青木さん今は子供の数が減ってきていて、学校が合併する話もよく聞きますが、この地域の小学校では、逆に生徒が増えています。人が流れて、集まってきているということですね。高齢者の方にも見直され、子供の数も増えている。だから今頑張って「ここの商店街が10年20年続く」という形態にしておけば、今は苦しくても、見直される時が来ると思っています。

石川鷹野橋商店街は、まさに「普段着」で来ることが出来る場所ですからね。それが都心にあって、便利なところだとなれば、すごく魅力的だと思います。

青木さん
商店街の未来について熱く語ってくださる青木さん。後ろには某有名漫画家によって描かれた妖怪バタバタが…

青木さんそして、子供たちのためにも普段から交流を重ね、私たちが「知ってるおじさん」になることも大切です。子供たちが困っているときに手を差し伸べることができる「おじさん」ですね。

石川最近では、親切心から子供に声をかけたら、子供が逃げるどころか警察を呼ばれることもあります。「知らない人にはついていってはいけない」ということではあるのですが…

青木さん子供を守るためにも、私は地域のお店として商店街の意味があると思います。私たちも地域の人間。そこで地域を盛り上げるために活動することは、課せられた役割なのではないでしょうか。商店街だからできること。そして、その活動が理解されたら、皆さんから愛される商店街になるのだと思います。

郊外型の大型店舗やEC(ネットショッピング)によって、商店街から活気が無くなりつつある時代の中で、鷹野橋商店街は打開策の一つとして様々なイベント企画を実施されていました。
お花見企画や8月6日の慰霊祭、夏祭りに加えてはしご酒祭りに給食祭り。夏にはビアガーデンも開かれ、広島市で国際的なイベントが行われる際には、海外からのお客様を商店街に招いて「生の広島」を体験してもらう企画を開いています。
また昨年、広島カープが出場したプロ野球日本シリーズでは、商店街内でパブリックビューを実施。多くの人たちがカープの激闘を共に見守りました。

まさにアーケードのある商店街ならではの取り組み。活発にイベントを行うことで「鷹野橋は元気だ」「鷹野橋は何かやっている」という印象が地域に根付き、それは商店街の将来につながるものだと青木さんは考えておられました。
5月以降は第2、第4土曜日に「アーケード祭り」を毎月催されていると言うから、本当に驚きです。
またそのイベントごとにはのぼりやフラッグといった屋外掲示物も登場し、賑わいに花を添えているそうなのですが、やはり限られた予算の中で広告物は後手になることが多いのだとか。

青木さん同じお金をかけるのであれば、今は地域の人にイベントを楽しんでいただくことで還元したいと考えています。看板なども自分で貼ったりして、意外と手づくりも多いんです(笑)

青木さん

それでも「先々のことは分からない」と語る青木さん。
鷹野橋の周辺地域に人の流れを集めるためには、より幅の広いアピール方法で魅力を伝える必要性が今後高まります。
その際に、鷹野橋商店街の持つ下町情緒と暖かさを有効に活かした屋外広告を飾り付けることで、大きなアピールポイントになります。
例えば夏祭りでは「神社のぼり」を模してお店のアピール。また、海外からのお客様を呼び込む際にも、多言語で書かれた掲示物はコミュニケーションの手助けとしても効果を発揮します。
そして子供たちが描いた「お店の絵」もポップジャパンではフラッグやタペストリーに加工できるので、想い出の品として渡すこともできるでしょう。

最後に商店街として統一された、常設的なアーケードの飾りつけなどはしていないのですか?と青木さんに訊ねたところ…

青木さん昔は季節ごとに色々飾り付けを変えてアイテムをつけてました。でも、監視カメラがついてから出来なくなりました。死角ができてしまうんですよね。

石川か、監視カメラ…

天井
監視カメラかぁ…

のぼりラボとして、考えなければならない新たなテーマが生まれた瞬間でした。

取材先 : 広島市中区 鷹野橋商店街 [広島市タカノ橋商店街振興組合]

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
トップへ戻る