行きたい ! 立てたい !「のぼり」隊!第六回 「大野瀬戸かき海道」を守り続けて10年以上!未来に向けて必要なことの巻

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大野町漁協

広島県廿日市市大野にある「大野瀬戸かき海道」。
前回までの取材では、実際に大野瀬戸の地域内で、かきの生産・販売を営んでおられる事業者さまのお話を伺いました。
その中で私たちは、「大野瀬戸かき海道」と設定されながら、効果的なアピールができていない現状を知ることになります。

    参考記事
  1. 行きたい ! 立てたい !「のぼり」隊!第一回「大野瀬戸かき海道」の巻
  2. 行きたい ! 立てたい !「のぼり」隊!第二回 「大野瀬戸かき海道」を五感で味わう黄金体験の巻
  3. 行きたい ! 立てたい !「のぼり」隊!第三回 かき小屋だけじゃない「大野瀬戸かき海道」の奥深さに迫るの巻
  4. 行きたい ! 立てたい !「のぼり」隊!第四回 「大野瀬戸かき海道」の意味とは何か?そこに込められた期待と願いの巻
  5. 行きたい ! 立てたい !「のぼり」隊!第五回 ついに明かされる「大野瀬戸かき海道」の正体と誕生秘話の巻

取材に協力いただいた皆さまの思いは「大野のかきの魅力がもっともっと広がって欲しい」という点で共通しています。
「大野瀬戸かき海道」の商標を取得し、ブランドの立ち上げやエリアの設定、販売用パッケージの提供など、その主体が「大野町漁業共同組合(以降、大野町漁協)」だと聞いたのは、前回の取材先である合同海産でお会いした廿日市市議会議員の広畑裕一郎(ひろはたゆういちろう)さんからでした。

    参考記事
  1. 行きたい ! 立てたい !「のぼり」隊!第五回 ついに明かされる「大野瀬戸かき海道」の正体と誕生秘話の巻

「大野瀬戸かき海道」の歴史には、のぼり旗を立てていた時期があったのだとか。
残念ながら現在では、道路交通法など法律的な問題によって、海道エリア内でのぼりを見かけることはありません。
しかし、毎年2月の第一日曜日に催される「かきフェスティバル」では「大野瀬戸かき海道」のぼりなどが登場すると聞きました。
限られた機会のなかで、どのようなPRを展開されているのか、その様子については詳しくお話を聞きたいところです。

そこで今回の取材では、かきフェスティバルの主催にも名前を連ねる大野町漁協にご協力をお願い。
参事である河野重明(こうのしげあき)さまからお話を聞くことができました。

大野町漁協

時は、かきシーズン真っ只中である2016年の年末。
お忙しい中、「大野瀬戸かき海道」の歴史と、数々の取り組み。そして、まだまだ認知が広がっていないという現状に対するジレンマを、赤裸々に語って下さいました。

    参考リンク
  1. JF大野町漁業協同組合

「大野瀬戸かき海道」とは、みんなで助け合い、エリアを一体化する取り組み。

大野町漁協を含め、漁協は主に漁業関係者の方を相手として運営されています。
「操業指導」や「保険の取扱い」など、様々な事業を担っており、その中には組合員が運営する販売店や飲食店の盛り上げといった、生産物のブランド化や認知の向上といった取り組みも含まれています。
「大野瀬戸かき海道」というブランドの立ち上げも、その活動の中、大野のかきを盛り上げたいという一心がスタートでした。

今回訪れた大野町漁協の様子がコチラです。

大野町漁協

おや?出入り口の扉をよく見てみると…

大野町漁協
あ、「大野瀬戸かき海道」のポスター!

これまで取材を重ねてきた我々にピンと来るデザイン。しかし私たちは、この「大野瀬戸かき海道」のポスターについて、実物を見るまで存在すら知りませんでした。他のかき海道アイテム同様に、控えめなアピールです。
しかし、ポスターやタペストリーといったアイテムがあれば、のぼりとは違う角度からの広告展開を考えることができます。
例えば、協力いただけるお店の店内に掲示。またJRの駅やバスの停留所などに貼れば、多くの人の目に留まる広告となります。
既に設置されている、壁面看板と電柱看板と組み合わせることで「ここは大野瀬戸かき海道です」というエリア感を訪れた人に向けて演出できます。
JR山陽本線・宮島口駅は宮島へ向かう多くの観光客に見てもらえる絶好のポイントと言えます。

また、このようなエリア演出とは別角度からの、パッケージを利用した認知拡大を狙った取り組みも大野町漁協では行っています。
発送用パッケージに込めた工夫と特長について、河野さんから説明していただきました。

河野さん「まず最初にですが、「大野瀬戸かき海道」とはエリアのネーミングでもあります。JR山陽本線・宮島口駅から山口方面へ向かう約10kmの国道2号線の中に、多くのかき屋さんが集まっていますので、ここに「かき海道ですよ」というネーミングをつけたのが11年前。商標登録をして、このエリアで扱っているかきは「大野瀬戸かき海道」ですよとして、専用のパッケージを作り、生産者が違っても共通のパッケージ商品として使っていただいています。」

生産者が違っても「大野のかき」というブランドとして、共通パッケージを使ってお届けする仕組みとは、とてもユニークな施策です。
自社の売上向上に加えて、共通化されたパッケージを通じて大野のかき全体の認知向上につながることは、エリア内の一体感や刺激になります。

「大野瀬戸かき海道のかき屋さんでかきを買えば安心で、美味しい」というイメージになることが一番だと、河野さんは考えます。
実際に、統一したパッケージを利用することで、同じ海域でかきを生産する事業者として、連携や一体感といった意識作りができたそうです。
しかし現在では、市場や仲買の方に出荷するかき屋さんが増えて、パッケージを利用していただく数は減少傾向だという現実もあって、その難しさも感じておられました。

法律による屋外広告展開の難しさ。

地方発送時に共通のパッケージを利用して「大野瀬戸かき海道」の認知を広げる取り組みは、エリアの外へ向けたアピールと言えます。
同時に、海道の道路沿いにのぼりや屋外広告を設置できれば、それは訪れたお客様に「ここは大野瀬戸かき海道なんだ」と、強い印象とライブ感を与えます。

しかしながら現在では、エリア内を車で通過しても「大野瀬戸かき海道」ののぼりを見かけることはありません。
そこには法律的な問題もあるとのこと。詳しく聞いてみました。

大野町漁協

河野さん「国道沿いのエリアということもあって、ガードレールなども含め、それらは全て国土交通省の所有ということになっていますので、そこからのぼりを立てる許可が出にくいという問題がありますね。現在、公共のものに関しては、なかなか承認が出にくいと感じています。一回取り付けていたこともありましたが、やはり「撤去するように」と強めに言われました(笑)」

石川「(聞いたことある話だな…)」

    参考記事
  1. 行きたい ! 立てたい !「のぼり」隊!第五回 ついに明かされる「大野瀬戸かき海道」の正体と誕生秘話の巻

以前の取材の中でも、「道路沿いにのぼりを立てる許可が出ない」という話を聞きました。
そこには屋外広告法や道路交通法など法律の壁が大きく立ちはだかります。
また風が強い海沿いの道路にのぼりを立てる危険性については、設置する前に十分考慮しなければならないことは事実です。
では、業者様の作業場や、かき小屋の敷地内であればどうでしょうか。私有地であれば法律的な問題もクリアできそうですが…

河野さん「のぼりをかきの業者さんに取り付けてもらおうかとも思いました。しかし道路沿いの店舗さんが意外と少なく、道路から奥まった立地の方が多いのです。そこで、どのようにしたら目立つのかな…というところで、踏み切れていないのです」

かき海道のエリア内には、全国的にも珍しい量で生産業者が集積していますが、その全てが大きな道沿いではありません。
かきの水揚げ作業のことを考えると、ダイレクトに船と作業場が連結できた方が効率的なので、多くは海側へ少し奥まった場所に立地しています。
奥まった場所に掲げられている屋外広告もいくつか見ましたが、目に付きにくく効果的で無かったことも確かです。

島田水産

発想を変えて、堤防沿いに屋外広告を設置してはどうでしょう。
幸い、大野瀬戸かき海道エリアは国道が海に沿って走っていることもあり、堤防に何かしら目立つものを設置するなど、場所次第でかなり効果的な企画が打ち出せそうです。
また条件が重なれば、対岸の宮島から目に付く屋外広告も考えられそうですが。

堤防

河野さん「堤防は県の占有地ですので、こちらは県の許可が必要です。当然、許可は出にくいですね」

石川「堤防もダメか…」

法律の壁は予想以上に厚く、だからと言って無視することも、力ずくで突破することも出来ません。
現在は電柱看板を個々の生産者が広告料を支払い、名入れがされた形で取り付けられていますが、効果がないと解除されてしまいます。

また河野さんは「『大野瀬戸かき海道のお客さま』を迎えるのなら、どんなカタチの『お客さま』になれるのか、訪れる人がイメージできるようにしなければ」と語ります。
この地を訪れることで、何処で、何を見て、何を食べて、何を知り、何が体験できるのか。
『大野瀬戸かき海道のアクティビティ』を整理した上で、アピールを仕掛けることによってエリアとしての魅力を引き上げる施策を考えなければなりません。

大野かきの祭典「かきフェスティバル」!地域の力を活かすために。

大野のかきをアピールする一大イベントとして、毎年二月の第一日曜日に催される「大野かきフェスティバル」があります。
ボートレースが行われる宮島競艇場の敷地を利用し、毎年盛大に開催されているそうです。

    参考リンク
  1. 大野かきフェスティバル公式サイト

公式ページでは過去に開催された様子も公開されています。
そこには「大野瀬戸かき海道」と大きくバックプリントされたはっぴもありました。
来場者の数も多く、かきに関連した売店の他にも様々な催しや子供が遊ぶことの出来る会場も用意されているようです。
大野かきフェスティバルの中で、「大野瀬戸かき海道」をいかにアピールしているか聞きました。

河野さん「のぼりも立てて「大野瀬戸かき海道」のかきですとアピールしています。しかし集まっていただくお客様は、地元である大野からのお客様が多いですね。ですので「大野のかき」としての認知は当然持っていただいていますが、逆に「大野瀬戸かき海道」というネーミングが浸透していないようにも感じます」

発送用の専用パッケージなど、漁協としての取り組みを続けた結果、かき屋さんサイドでは「大野瀬戸かき海道」という名称が浸透しています。
しかし、大野が地元のお客様となると、すでに「大野のかき」という認識がある以上、新たな名称が認知されにくいのかも知れません。
前述したように、エリア内でのアピールに悩まれていることも一つの要因と言えます。

大野かきフェスティバルの来客層は広島県内のお客様が多く、遠くから来られた方でも東広島市からで、まだまだ全国的な広がりとは言えません。
しかしその開催場所は、世界遺産として世界に名が知られている宮島の目と鼻の先。
この恵まれた「地の利」を活かし、宮島への観光客を呼び込む施策を考える余地はあります。

河野さん「宮島に関する観光案内の中に「大野瀬戸かき海道」のしおりを入れていて、『宮島に近い海域です』と書いてあるのですが、関東など遠方のお客様には「宮島のかき」と捉えられることが多いですね」

宮島というネームバリューを活かそうとしても、今度は「宮島のかき」という認識に引っ張られてしまうことが多いそうです。
「宮島に近い大野」のブランドである「大野瀬戸かき海道」を使いこなすには、繊細なバランス感覚が必要とのことでした。

また、以前の取材の中では外国からのお客様も増えているというお話がありました。
世界遺産として知られる宮島観光のツアーに組み込まれていることもあるらしく、これはインバウンドへの働きかけとしても無視できないポイントです。

河野さん「商工会さんで、ホームページ上で外国の方へ向け、英語版や中国語版、韓国語版の表記を載せています。看板も設置するときは、日本語以外の言葉を表記することはしていますね。」

資金や規模によっては、漁協だけでなく廿日市の観光協会や地元の商工会と連携し、幅の広い活動にすることも少なくないそうです。
実際に大野かきフェスティバルも、主催には大野町漁協だけでなく大野町商工会や、一般社団法人はつかいち観光協会大野支部も名を連ねています。

また、かき海道エリア内にある宮浜温泉もPRの場として利用できそうですが、現在はあまり大きな規模での広告展開はしていないそうです。
宮浜温泉は、大野かきフェスティバルの会場が宮島競艇場の敷地になる前に、会場になっていた経緯があります
当然、大野のかきとの結びつきも強く、実際に温泉施設の食事に利用されているそうです。
以前、「わたや大野店」の取材の中で、「宮浜温泉・べにまんさくの湯」もグループとして手掛けられているという話がありましたが、そちらでも大野産のかきを使われていると聞きました。
こちらを訪れたお客様にもアピールする機会があれば、宮島観光から温泉という流れの中に、食事やお土産といった部分で、「大野瀬戸かき海道」を印象付けることができそうです。

知られざる「大野瀬戸」の歴史と物語。もっとたくさんの人に伝えたい。

大野町漁協

費用の面やスタッフの調整が難しく、広報活動が思うように進まないこと。
そして法律や時代の流れなど、「大野瀬戸かき海道」の普及を進める上にある、数々の障害に悩まれていることを、今回の取材を通して知りました。
しかし同時に、その問題の解決に向けた提案があれば助かるという言葉もいただきました。

共通パッケージによってかき屋さんの結束を強めた効果があるように、漁協という団体だからこそ、取り組むことができる施策も多いと思われます。
エリア内の温泉施設やJRの駅を利用したPR活動なども含め、廿日市市の団体などと組み合わさることで、かき海道の範囲を超えた場所での展開も考えられます。

河野さん「かきができる漁場として、大野瀬戸は非常に良い環境です。宮島からも本土からも、雨風によってできた綺麗な伏流水が流れ込みますし、潮の干満も大きいので、良質なかきができ易い漁場となっています。是非、大野の優れた環境で育ったかきを、召し上がっていただきたいと思います」」

川の流れに見える瀬戸の光景と、その流れに沿に人々が往来する道。そこに集積しているかき生産者の皆様。
そんな「大野瀬戸かき海道」設定の由来となったストーリーは、エリアの対岸にある宮島の風景と相まって、とても綺麗なものでした。
「大野瀬戸かき海道」誕生から10年以上、パッケージの展開やイベントでのPRなどを地道に継続されている大野町漁協。以前は「大野瀬戸漁協」という名前だったそうです。
設立以前から、実は地元で長く愛され続けていた「大野瀬戸」という名前が冠された「大野瀬戸かき海道」。
そこに込められた想いと、かけがえの無さを私たちは知りました。
同時に、様々な施策が実行できない問題も聞き、その難しさも実感しました。
法律の壁や、人員が割り振れない現実。時間や予算の限界など、要因は様々です。
しかし、その一つ一つを突破する方法を考えて提案することものぼりラボの役割であり、屋外広告に携わる企業こその経験や見地を活かして解決できる問題もあります。

これまで大野町漁協で行われた施策を洗練化しながら、新たな広告展開を打ち出すこと。
そこにのぼりラボの調査・研究結果を落とし込むことで、一つ一つの問題が突破できるのならば、「大野瀬戸かき海道」が全国で広く知られる存在となる道が見えてきます。
のぼりラボは今後も、大野瀬戸かき海道を応援、屋外広告の観点からブランドの力を拡大させる施策と成功への道筋を研究・調査し発信し続けます。

大野町漁協

ご協力いただき、ありがとうございました。

取材協力:大野町漁業協同組合
〒739-0443 広島県廿日市市沖塩屋3丁目4番21号
代表電話:0829-55-0048 / FAX:0829-55-3572
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■営業時間
午前8時30分から午後5時まで

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