隠されちゃうと覗きたい!?日本人に有効な暖簾が生み出す3つの広告効果とは?

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突然ですが、ご趣味は何でしょうか?
ドライブ、ショッピング、読書や映画鑑賞。或いはジョギングやボルダリングなどを嗜まれている方も多いことかと思います。
実は最近、自分の周りにいる人に趣味を尋ねると「カフェ巡り」に嵌っていると答える人が結構多いことに気がつきました。
それも街中でよく見かける大手のチェーン店だけではなくて、個人経営で長く続いている喫茶店まで幅広くお店を巡っているらしく、その様子はTwitterやInstagramといったSNS上によくアップされています。
様々なお店の様々なコーヒーやスイーツを楽しみながら撮影されたフォトジェニックで素敵な写真を見ていると、なんだか自分までお洒落な時間を過ごしているような錯覚まで起こしてしまいますから不思議です。

普段何も考えずにブラック一択でしかない私にとって、それはとても魅力的でお洒落な趣味だなぁと思えるのですが、では実際自分もカフェ巡りを試みようかとすると越えなければならないハードルがいくつもあります。
まず、商品名が覚えられないという問題。
一口にコーヒーと言っても最近では「○○ラテ」とか「△△フラペチーノ」といった商品が沢山あるようで、名前と実物がうまく頭の中で結びついていません。
さらにディープな領域にまで踏み込むとコーヒー豆の種類や産地、ブレンドから焙煎の話も出てくることでしょう。
とてもこのハードルを越えていく自分が想像できません。

ですので、趣味としてカフェ巡りを楽しんでいる人たちにはある意味で尊敬の念すら抱いているのですが、それと同時に、様々なお店にチャレンジしていっている行動力にも感服します。

今やお店の情報は事前にインターネットや情報誌などでワリと簡単に入手できる時代になりましたが、それでもいざ自分が当事者として来訪するとなると、そこに「最後の一押し」が欲しくなってしまうのは何もカフェに限った話ではありません。
ではその「最後の一押し」として効果的なものは一体何なのでしょうか。
そこに答えが見つかれば、お客様はより入店しやすくなるでしょうし、それだけ来店客が増えることはお店にとっても喜ばしいことこの上なし。まさにWin-Winです。

そこで今回、常日頃から屋外広告について研究を進めている「のぼりラボ」から一つの提案として「暖簾(のれん)」という屋外広告をその候補としてピックアップしたいと思います。

暖簾を使った演出は躊躇いというハードルをさげていく

お店の「入りやすさ」を演出するための一アイテムとして暖簾を提案する根拠は幾つかあります。
第一に暖簾のもつメッセージとして「営業中と準備中の見分けが一目で分かる」ことが挙げられるでしょう。
「営業中は店頭に暖簾をかけて、閉店時(準備時間)は暖簾を下げる」という様式は日本独自でありつつも、一般的に認知されているポピュラーな光景です。
これによって「誤って準備中の時間に扉を開けてしまった気まずさ」を回避できるという意味でも、安心感を提供するという役割を広告として暖簾が担っていると言えるでしょう。

また大多数のお店はお客様を迎え入れるために様々な施策を行っています。
何を取り扱うお店なのかイメージしやすい外観の演出。
看板やのぼりなど屋外広告を用いた情報発信。
店頭でチラシなどの広告を配布しながらお客様を呼び込むこともよく行われています。

店外で行われる施策も多種多様ではありますが、やはり最終的に気になるのは店内の様子や雰囲気です。
特に飲食店などですと、中の混み具合や客層などについてはできるだけ入店前に確認しておきたいものです。

しかし、だからと言ってお店の中をつぶさに見てもらえるように(例えば全面ガラス貼りにするような)工夫をすればいいのかというと、そう簡単な話ではありません。
外からは見てみたい。しかし一旦入店し、しかも食事をしている姿となればあまりジロジロみられたくないものです。
私も外食の際にはなるべく奥まった出入り口から見えづらい席に座りたがる傾向がありますから、この心理は日本人としてよく分かります。
ましてカフェのように「くつろぎ」を求められるお店にあっては、外界からの遮断感はより重要性が高くなります。
その点において暖簾を用いれば基本的に目隠しの役割は担保されつつも、僅かにめくることで店内の様子も窺い知れる。
音も無くお互いにあまり気にすることも無い。広告効果と共に暖簾が演出する絶妙な距離感は非常に日本人的と言えるでしょう。

柔らかな境界線が演出する「歓迎」の心遣い

暖簾については以前の記事で、その歴史から役割、種類、そして「花嫁のれん」という美しい文化について紹介しました。

【のぼりラボ番外編】暖簾が花嫁の笑顔と覚悟を彩る歴史。100年続く美しき「暖簾」文化のスケール感が凄い!

暖簾について少しだけ簡単に復習しますと、暖簾の起源は平安時代の末期とされ、店内に日差しや風が入り込むことを防止する目的で暖簾は設置されていました。
やがて時代の流れと共に暖簾は屋外広告的な立ち位置を日本人の文化と共に確立し、半暖簾、長暖簾、水引暖簾といった様々な種類へと枝分かれしながら今日至る歴史を持つ立派な集客アイテムとして進化してきました。

この「入り込ませない」という目的から一転して「歓迎」を演出する屋外広告として進化してきた暖簾の歴史は興味深いものです。
例えば温泉や銭湯にかけてある「男湯」「女湯」を意味する暖簾。
もちろん中の様子が見えないようにする意味もありますし、暖簾によって男女お互いによる間違った進入という不幸な事故を防止する役割もあるでしょう。
しかし同時に暖簾には「ようこそ」と歓迎されている意思も感じます。

何故でしょうか?

そこには前述したような「中の様子を知りたい」「外から伺い知られたくない」という立ち位置によって変化する、日本人の微妙な心の機微を暖簾が柔軟に包み込んでいることが考えられます。
ことさら日本人は「察し」と「思いやり」についての配慮が随所で求められ、良し悪しではありますが、往々にして曖昧な立ち位置であることが正解とされることも少なくありません。
「知りたいけど知られたくない」という欲求を相互に調整するアイテムとして暖簾は実に絶妙なポジションから境界線を柔らかく曖昧にしています。
暖簾はまさに日本人のメンタリティに沿った趣を持つ独自の屋外広告なのです。

風水効果も気にしたい。暖簾を使って邪気を払おう。

暖簾の実用性について説明してきましたが、実は風水的にも効果が高いと言われています。
風水では「化殺(かさつ)」という考え方があるらしく、それは地理や環境から出るマイナスのエネルギーに対し、伝統的な手法の風水アイテムを使うことにより、そのマイナスエネルギーを軽減・緩和することだそうです。
例えば、部屋の入り口から真正面にベッドがある場合。
これは入り口から入ってくる「気」をベッドで寝ている間、ダイレクトに受けてしまうので避けるべきとされています。
しかし、やんごとなき住宅事情故にレイアウトの変更もままならないことも多々あることかと思われます。
そこで登場するのが暖簾。
空間を遮断する効果のある暖簾をかけることによって、外からの「気」も遮断。
この暖簾による「化殺(かさつ)」の効果によって、邪気を防ぐことができると言われています。

風水自体を気にする気にしないと言えば根本的な話となってしまいますが、かつて江戸の街も風水の理論に沿って作られたという説もあるくらいですから、一概に迷信だと断ずることも憚られます。
日本人の文化的にも深く関わっている風水。
ここは例え気休めに過ぎなかったとしても、お洒落な暖簾をお守りとして部屋にかけてみるのも精神衛生上で有効なのかもしれません。
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暖簾とは日本人の心に刺さるピンポイントな屋外広告だった

今や暖簾は広告的なアイテムとしてだけではなく、観光地のお土産屋さんにも装飾用暖簾が売ってありますし、家庭においてもキッチンとの仕切りにレース地の暖簾をかけているお宅だって珍しくありません。

境界線をきっちりと分かりやすく明確に設定する重要性については語るべくもありません。
しかし、こと人間対人間となれば緩衝材としての役割をもつ一アイテムがあることで物事が上手く前へ進むことが多々あることもまた事実です。
布という素材で演出される柔らかさを活かす暖簾はそのようなクッションとしての効果が期待できます。

日本人の「はっきりしない」姿勢は得てして外国の方から批判されがちですが、それも裏を返せば「和を以て貴しとなす」気遣いの精神と言えます。
「暖簾を見るとくぐってみたい」
それは暖簾と共に歴史を歩んできた日本人独特の心理。
つまり、暖簾は日本独特であると同時に日本人の心に訴えるために特化した優れた屋外広告の一つと言えるのです。

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