のぼりはもう時代遅れなの?五感を刺激するデジタル屋外広告事例からのぼりの未来を考えてみた。

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ここ数年におけるデジタル技術の発展は本当に目まぐるしいものがあり、スマートフォンの普及に代表される通信技術・情報処理技術の進歩は様々な業界に大きな変化をもたらし続けています。
のぼりが属する広告業界も例外ではありません。日々新しい技術とそれに沿ったデザインやアルゴリズム、表現方法が生み出されています。

例えばデジタルサイネージ。
「動く広告」として様々な情報を人々に提供し五感に訴える電子看板とも言われながら大きな可能性を示す未来の広告として注目を集めています。
他にもプロジェクションマッピング技術やロボット化されたマネキンなど、日々様々な広告手法が加速度的に産み出されており、その情報やトレンドを追いかけるだけでも大変な時代です。

そんな中、これら未来を感じる新しい広告トレンドを考える一つの切り口として「動く/動いている」というキーワードは考えられないでしょうか?
それは動画であったり、空間演出であったり、ロボット技術であったりと形や仕組みは様々ですが、これまでの動かなかった(動けなかった)看板やポスターなどアナログ印刷物からデジタル技術によって「動く」という手法を獲得した一つの進化だと言えるのかも知れません。

のぼりはどうでしょうか?

風が吹けばのぼりは確かにヒラヒラと動きますが、それは先に挙げた「動く広告」と同列に語ろうと試みるには文脈がやや違う気がします。
「動いて目立つ」という一点ではのぼりも同じ方向性とも無理やり考えられなくもありませんが、宣伝内容と連動した動きでは無いことは一目瞭然。

残念ながらのぼりもまた「動く/動かない」という狭い観点ではありますけれども、一旦は前世代的な屋外広告と定義されてしまいました。
では、のぼりはこのまま世間のデジタル化の波に飲まれて淘汰されて行く運命にあるのでしょうか?のぼりの未来は?
のぼりに先進性をもたらし、体験型だとかインタラクティブ性といったトレンドな要因を盛り込むために必要なモノとはいったい何なのでしょうか?
次世代広告との対比を見ながらのぼりの未来と進化の可能性を探ってみたいと思います。

近未来型屋外広告の大本命、デジタルサイネージによる体験型広告

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デジタルサイネージとは、簡単に説明すると液晶画面を設置してそこにキャンペーンやイベントの告知を表示させたり、お買い得情報を流したりする広告手法です。
店頭広告の他にも交通情報のインフォメーションだとか、ホテルや病院、公共施設の相談受付役として設置されていたりもします。
駅のコンコースや空港にも多く設置されており、様々な情報を動画的演出で通り行く人々に提供しています。

デジタルサイネージの急速な普及の背景にはやはりその映像広告としてのインパクトの大きさがあります。
動きがあり音声がついた広告。
さらに最近ではスマートフォンとの連動も積極的に行われており、個々人の情報を読み取りパーソナライズされた広告を表示するなど双方向性を持った非常に柔軟な情報発信が可能です。
さらに液晶自体の破壊的な低価格化も強力な後押しとなっています。
アメリカの広告代理店クリア・チャンネルによると
「多くの国では、2019年までに屋外広告の90%がデジタルになるだろう」
と予測しているようですが、つまりこれが現実のものとなった際には、従来型ののぼりは残りの10%に押しやられるとも読み取れます。これはちょっと由々しき問題と言えるでしょう。

SFの世界が現実に!? 24時間働けるロボット接客システム

少し古い話題ではありますが、服飾雑貨のユナイテッドアローズではマイクロソフト社のKinectセンサーを用いて、ショウウィンドウの前に立つ人の動きをトレースしてマネキンが動くというインタラクティブな広告手法を渋谷マークシティ店で行い話題になりました。

他にも世間的に有名な接客・宣伝ロボットとしてソフトバンク社のPepperは無視できない存在だと思われます。
Pepperは商品映像によるプロモーションに加えてオリジナルトークを展開し、クーポンの発行も行うことができます。
また多言語による商品説明も可能ですのでインバウンドマーケットにも対応できるそうですし、歌いもすればダンスもできるそうですから、よもすれば人間のスタッフよりも優秀だなんて評価にさえ繋がりかねません。
今現在でも外国語ののぼりや広告も世の中には多数存在しますし、日本語表記の下に幾つかの国の言語が書かれた案内図などを目にする機会も多々あることとは思いますが、流石に歌ったりダンスをするのぼりについては私も見たことがありません。

また、長崎県にあるテーマパーク・ハウステンボスでは「変なホテル」と称してフロントからポーターまで全てロボットが対応するロボットホテルが開業していますし、ロボット技術と関わりの深い人工知能(A.I)の世界においても加速度的な進化を遂げています。
自己学習能力の獲得によって囲碁では人間を圧倒し、大喜利で高クオリティの「ボケ」を実現していることから、人間の感覚・感情に限りなく近づいているという話を聞くと、本当にもう驚嘆しきりです。

    参考リンク
  1. SoftBank Pepper
  2. ハウステンボス 変なホテル
  3. 株式会社わたしは(大喜利A.I)

既成概念からの脱却。未来に向かう圧倒的ブレイクスルーのヒントはどこに?

そんな「SF感」すら感じられる様々な技術があらゆる分野に浸透し、我々の生活がより高い水準で豊かになること自体は決して否定されてはなりません。
それは人類の知性の産物であり進化であり未来です。
その結果として過去へと追いやられたものが惜しまれながらも姿を消していくことは、言わば自然淘汰であり、抗いようの無い潮流でもあると思われます。

「のぼりラボ」の持つ重要な研究テーマとして「のぼりの未来像」というものがあります。
のぼりは今後どのように進化すべきか。未来ののぼりはどうあるべきか。
もしかしたらそれは従来ののぼりの概念を覆す、今ののぼりの定義から逸脱した形のものである可能性も否定はできません。
あらゆる可能性を検証し取り入れた結果、未来ののぼりは現在の既成概念から逸脱した「それはのぼりなのか?」と首をかしげるところに着地してる可能性もあります。

例えばより高性能な有機ELを用いたりして、のぼり上で動画を再生することも将来的には出来るかも知れませんが、そこに風で揺れ動く効果をどう組み合わせるのかと言う課題も出てくることでしょう。
あるいはのぼりが中国語で話しかけてきたり、歌うのぼり、話すのぼりも出てくるかも知れませんね。ダンス…ダンスは…どうかなぁ…

本来のぼりの持つアドバンテージといえば、それは他の広告媒体と比較した際の圧倒的なコストメリットにありました。
製造・設置にかかる費用に対して高い集客効果が期待できることが言わばのぼりの「売り」だったのです。
先に述べたデジタル的な未来の広告たちは、導入費用や電源、通信環境など障壁も多くあることから、現在ののぼりほどの普及に至るまでにはまだ時間がかかるものと思われます。
しかし、技術の進化は確定的に日進月歩。なにしろ不確定な未来の話です。
いつか近い未来、デジタル広告の導入コストに対する効果(メリット)の比率がのぼりを上回ると判断されたとき、お客様がどちらを選ばれるかは考えるまでもありません。

現状に甘んじることの無く未来の中に活路を見出すためには、我々もこれまで以上にアンテナを広く張り続け、時代の流れに乗るだけでなく常に先頭を知り続けようとするスタンスが求められます。
極端な専門性にまで入り込むことは不可能としても、好奇心と探究心と目新しさに対する思わず目を輝かせるような純粋な心。
そしてあらゆるインプットを受け入れて活かそうと試みる柔軟性こそが未来のネクストジェネレーションのぼりへと繋がることでしょう。

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