年間来園者数35万人 ! 三世代で楽しめるテーマパークの進化する発想力に迫る!【後編】

ダイナソーパーク

ダイナソーパーク

石川と寺本さん

こんにちは。ポップジャパンの石川です。
のぼりラボでは、広島県福山市藤江町にある「みろくの里」を取材し【前編】では「いつか来た道」という昭和をテーマにしたアトラクションについて紹介。
かつての町並みを再現する試みから、当時の文化、風俗の香りまで呼び起こしたような雰囲気は世代を越えた楽しみ方を演出し、まさに「三世代テーマパーク」を体現していました。

年間来園者数35万人 ! 三世代で楽しめるテーマパークの進化する発想力に迫る!【前編】

施設の中では、当時の印刷技術を彷彿とさせるのぼり旗も発見。現代ののぼり旗と見比べる楽しみは、のぼりを扱う私たちにしか伝わりにくいものですが、テンションは鰻のぼり。

後編では、みろくの里の新たなアトラクションから、これからのテーマパークの在り方についての考えまで、引き続き広報の寺本聖秀(てらもと・きよひで)さんにお話を伺いました。

「昭和ブーム」到来で全国的に注目されるテーマパークへ

寺本さん

石川「いつか来た道」をご案内いただきありがとうございます。ここからは施設の成り立ちや今後について聞かせていただこうと思います。

寺本さん「みろくの里」はもともと会社の福利厚生施設でした。それが1989年に開催された「海と島の博覧会ひろしま」の広域会場になり、新たな活用が模索され、同じ年に遊園地がオープンしました。「いつか来た道」自体の誕生は1998年ですね。

石川「昭和の風景」を現代に再現した施設とはいえ、誕生して20年近くになるのですね。昭和が遠ざかるほどコンテンツの強みが増すとは、流石です。

寺本さん今でも全国から視察の希望があります。例えば大分県の豊後高田にある昭和の町は、事前に商工会議所の方が見学に来られ、現在はリアルに町並みを再現して集客効果を上げておられます。

いつか来た道

石川そもそも「いつか来た道」の誕生には、どのような経緯があったのでしょうか ?

寺本さん当初は1~2か月ぐらいの限定イベント的な試みでした。ところが「しまなみ街道」の開通とタイミングが重なり、主に四国方面から想定以上の来場・反響がありました。「鞆の浦」とセットにした観光バスも好評で、「常設にするべきだろう」という声が大きくなり、現在のカタチにつながる計画がスタートしました。

石川それだけインパクトがあったということなのでしょう。タイミングとコンセプトがガッチリと組み合わさっていたのですね。その当時、こうした昭和レトロはトレンドだったのでしょうか ?

寺本さんまだまだ全国的にも先駆けだったと思います。ガード下の町並みには「夕日町三丁目」の文字があり、映画「ALWAYS三丁目の夕日」の構想が当時あったことが見て取れます。映画はもうすこし後に公開されましたからね。

(※映画「ALWAYS三丁目の夕日」は2005年に公開されました)

石川確かに映画のヒットによって「昭和って良い時代だったよね」という空気が全国に広まった感じはありましたね。

寺本さん施設で備品などは揃っていましたから、映画の製作スタッフさんに貸し出しを頼まれることもありましたよ。実際に備品や演出には、広島の地元業者さんや全国企業など、多くの関係会社が携わっていたと聞いています。

魅力は「昭和」だけじゃない。オリジナリティを確立する幅広い取り組み

石川みろくの里の敷地内は「いつか来た道」以外にも様々なアトラクションがありますよね。それぞれの特色を教えて下さい。

寺本さん「いつか来た道」の他に、いわゆる遊園地。そして新たなアトラクション「ダイナソーパーク」が集客施設の柱となります。また夏はプール、冬はイルミネーションと季節に応じた取り組みを一年通じて実施しています。

石川イルミネーションは敷地全体を使って行われるのですか ?

寺本さんそうですね。「いつか来た道」でも、竹をくりぬいた柔らかい灯りを配置して、和のテイストを取り入れたイルミネーションを行っています。

石川敷地内には他にも、温泉や美術館、お寺もあるんですよね。実に多彩というか、お寺まであるテーマパークってちょっと聞いたことが無いですね。

寺本さん厳密に言うと「みろくの里」というのはテーマパークだけのことではなくて、地域やエリアの名称ですからね。

メリーゴーランド

石川そういえば、取材する前に「ポップジャパン」のことはご存知だったと聞きました。ぶっちゃけ、ウチの印象ってどうですか?失礼なこと言ってませんでしたか?

寺本さん連絡の対応も早く助かっています。納品物の品質にも納得していますよ。ポップジャパンさんには案内幕の作成をお願いして、すでに設置してします。

実績
ポップジャパンで制作した幕も頑張っていました。

石川ありがとうございます!メーカーという強みを活かした提案・納期で、ご満足いただけるよう努めます。今後ともよろしくお願いいたします!!!

世代を「丸呑み」できるテーマパークづくり

寺本さん

石川少子高齢化が進み、遊園地のあり方なども大きな分岐点になっています。「三世代テーマパーク」という、広いターゲットを丸呑みできるコンセプトは、より価値が高くなりそうですね。

寺本さんそうですね。「遊園地」というと、ターゲットを子供だけに絞りそうですが、中高年世代もターゲットとして捉えた試みは強みになることは「いつか来た道」で、明確になりました。これだけに満足してはいけません。当施設の強みは、やはり遊園地に昭和の町並みがある意外性だと思います。これはよそにない特色です。このおかげで生き残ることができました。広島県内にも幾つか遊園地はありましたが、現在は当施設だけになっています。

石川具体的に年間どれぐらいの来場がありますか?

寺本さんおよそ35万人です。ピークはゴールデンウィーク、プール営業のお盆休暇、イルミネーションがあるクリスマスあたりになります。広報もシーズンに合わせた強化で、集客効果を上げています。いつか来た道のPRは、ホームページで情報を常時公開している程度ですね。

石川観光バスや修学旅行など、団体の集客は広範囲からになりますか?

寺本さん観光バスなどで入る団体客、老人会や町内会の利用は、県外がほとんどです。中四国を中心に関西からも多く来場いただいています。日帰り観光にもちょうどいい規模と位置になっているようですね。食事も可能な大広間が用意できるのも好評です。温泉では会席料理も提供しています。福利厚生時代の施設を活かした宿泊研修、運動施設を利用したスポーツ団体の研修も多いですね。研修施設は春から夏にかけて、予約が満杯で取れない状況が続いています。

キーワードは「他にはない」「飽きさせない」。昭和の次は「恐竜」!?

石川普段の宣伝については、インターネットを主力にされているのですか?

寺本さんそうですね。テレビでスポットの告知も利用しますが、今年(2017年)の4月にオープンした「ダイナソーパーク」が好調のため、テレビは少し様子を見ているところです。

ダイナソーパーク

石川ダイナソーパークでは恐竜を扱っていると聞きました。「いつか来た道」は過去を振り返る楽しみでしたが、一気に恐竜とは…「過去」と言うか、人類史を飛び越えましたね。

寺本さんこちらのターゲットは、若い世代です。例えば遊園地で乗り物やアトラクションを増やすのは、発想としては簡単です。しかし私たちの思いは「他と同じでは駄目だ」ということです。それによって新しい形のものを工夫するというこだわりがあります。

石川「いつか来た道」もまた、独自性を追求した施設でしたし、その意識は徹底されていることはパーク全体から伝わります。

寺本さん敷地内には「日本庭園」があるのですが、去年はそこにアスレチックの遊具を設置しましたしね(笑)

日本庭園とアスレチック

石川それにしても、組み合わせの発想がぶっ飛んでますね。

寺本さん「他と同じでは駄目だ」ということは「何か違うことをやりたい」と想い続けることですから。展示会に出かけては、いろいろな専門会社さんと話をしています。

石川そうした経緯がダイナソーパークの導入につながるのですね。

寺本さんあるお話の場で、「広島周辺の地域に「恐竜がテーマのアトラクション」って無いよね」という話になったことがありまして、そういえば広島市内で「ホール型の恐竜イベント」はあっても、常設型の施設って無いよなって思ったんです。

石川確かに単発のイベントを目にすることはあっても、常に恐竜と触れ合うようなアトラクションはありませんね。

寺本さんそこで、実際に調べてみると、中四国でも恐竜を数多く置いた施設はありませんでした。その話を会社ですると、すぐに「恐竜のアトラクションをやろう」となったんですよね。

石川フットワークが軽い!

寺本さんそして完成した施設には、恐竜を20体設置。出入り口には卵形のミュージアムショップを建てました。他とは違う「みろくの里オリジナル」のアトラクションになったと思います。

※実際に案内してもらいました

ダイナソーパーク
卵型のミュージアムショップ

ダイナソーパーク
通路の上までせり出す大きさの首長竜

ダイナソーパーク
個人的に大好き!トリケラトプス

ダイナソーパーク
恐竜お土産も充実!

石川実物大の恐竜の首が、道の上まで伸びていたりなど、迫力がありました。皮膚の質感も精巧で、好きな人にはたまりませんね。新しいファン層を獲得しているのではないでしょうか。

寺本さんそうですね。実際に新しい世代の集客効果は感じています。特にダイナソーパークは、恐竜の知識も得られる学術的な楽しみもあり、化石を掘り出す体験も好評です。子供さんだけでなく、カップルの方も目立ちますね。そういえば恐竜のリュックを背負う女性もいたなぁ。

石川もしかしたら恐竜女子というトレンドを掘り起こしてしまうかも知れませんね。様々な形の「三世代」が楽しめるテーマパーク。みろくの里の狙いは確実にヒットしているようですね。

寺本さんそうですね。子供たちは遊園地、両親はいつか来た道、おじいちゃんとおばあちゃんは温泉。それぞれの世代にあった楽しみ方が提供できているのではないでしょうか。ただ最近はおじいちゃんおばあちゃん世代も若くエネルギッシュな方も多くて、お孫さんと一緒になって楽しまれるご家族も多いですね。「三世代」というコンセブトは、今は全国の遊園地でも不可欠になっています。

石川よそにない・飽きさせない仕掛けは、三世代のエンタテインメント発想につながることを、強く実感させていただきました。本日はどうもありがとうございました。

寺本さんこちらこそありがとうございました。

「いつか来た道」、「ダイナソーパーク」、そして遊園地としては定番のメリーゴランドに観覧車、ジェットコースター、お化け屋敷。
「三世代テーマパーク」を掲げるみろくの里は、まさに世代を越えた楽しみを提供するためのアトラクションが数多く用意されています。
しかし、それらは決して世代間を分断するようなものではなく、子供世代が親の世代の楽しさを体験することで新鮮さを感じたり、逆に親世代が子供世代の刺激を得たりなど、お互いの世代の距離を縮め、新たな発見につながるきっかけになっていました。

みろくの里は間もなく30周年。
リピーターを獲得し、常に新鮮な楽しさを提供するには、過去をテーマとしたアトラクションであっても、更新しリメイク続ける必要性があります。
「昭和30年代の再現」、あるいは「恐竜時代の再現」は、過ぎた時間が変化しないことと同じく、新たな要素を付け加える難しさがあると、寺本さんも実感されていました。

例えば昭和30年代ののぼり旗を再現したアイテム一つにしても、現在のように写真まで表現できる印刷技術ではなく、綿素材に一色刷りで再現されていました。

文化だけではなくそうした技術的なアプローチから、現代との時代の差を感じられても新鮮な発見があるのかも知れません。
これまで何度かのぼりラボでも、のぼりの歴史について触れてきました。

売上アップの「立て」役者、のぼりの意外な歴史を紐解いてみた。

平安時代から続くのぼりが辿る昭和史を、のぼりラボで紐解いても面白いのかも知れません。

石川と寺本さん

今回は取材にご協力いただき、ありがとうございました。

取材協力:みろくの里
所在地:〒720-0543 広島県福山市藤江町638

URL:http://www.mirokunosato.com/
Facebook:https://www.facebook.com/mirokunosato/

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